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タロット

タロットとは何か:ゲームから「読む道具」へ

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タロットは15世紀イタリアのカードゲームから始まり、数百年かけて占いと内省の道具へ育ちました。歴史の流れを知ると、カードとの付き合い方がぐっと自由になります。

このページの目次

(入門・読む時間の目安 5分)

タロットと聞くと、神秘的で古代から伝わる秘密の書物のような印象を持つかもしれません。けれども実際の歴史は、もう少し身近で人間らしいものです。この回では、タロットがどこから来て、どのように今の形になったのかを大まかにたどります。歴史を知ることは「正しい読み方はひとつしかない」という思い込みから自由になる第一歩でもあります。

1.はじまりは貴族のカードゲーム

現存する最古級のタロットは、1440年代ごろミラノの宮廷のために描かれたもので、同じころフェラーラやフィレンツェの記録にも「トリオンフィ」の名が現れます(最古の文献は、フィレンツェ領アンギアーリの公証人ジュスト・ジュスティによる1440年の日記で、フェラーラの宮廷の記録が1442年に続きます)。有名なのはミラノのヴィスコンティ家とスフォルツァ家のために描かれた豪華な手描きのカードです。その代表がヴィスコンティ=スフォルツァ版(1450年代ごろ。伝統的にボニファーチョ・ベンボの工房作とされます)で、78枚そろいだったと考えられ、そのうち74枚が現存し、ニューヨークのモルガン図書館、ベルガモのアカデミア・カッラーラ、個人蔵に分かれています。「悪魔」「塔」「ソードの3」「コイン(ペンタクル)のナイト」は失われました。当時は「トリオンフィ(凱旋)」と呼ばれ、通常の4つのスートに、寓意画を描いた「切り札」の組を加えたトリックテイキング・ゲーム用でした。この切り札が、のちの大アルカナにあたります。つまりタロットは、もともと遊び道具だったのです。

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2.占いの道具になったのは18世紀

18世紀後半のフランスで、学者クール・ド・ジェブランが「タロットは古代エジプトの叡智を伝える書物だ」と主張しました。これは現在では歴史的根拠のない説とされていますが、大きな影響を残しました。同じころ、エテイヤと名乗る人物が、タロット占いの解説書(1783〜85年)に続いて、1780年代の終わりに占い専用のタロットを出版し、カードで未来や心を読む文化が広がります。クール・ド・ジェブランの着想を受けて、19世紀半ばにエリファス・レヴィがタロットの22枚とヘブライ文字22字を結びつけ、魔術や神秘思想の体系の中に位置づけました。

3.マルセイユ版:素朴で力強い伝統

17〜18世紀のフランスでは、木版で刷られた「マルセイユ版」と呼ばれる系統のカード(この呼び名が広まったのは19世紀末から20世紀)が広く普及しました。大アルカナは人物の寓意画、小アルカナの数札は棒や杯などのシンボルが数だけ並ぶシンプルな図柄です。数札に場面が描かれていないため、のちの読み手たち(とくに20世紀フランスの著者たち)が、数の意味とスートの性質を組み合わせて読む「数秘的な読み方」を発達させました。今もヨーロッパを中心に、この伝統を大切にする読み手が多くいます。

4.ウェイト版:78枚すべてに物語を

1909年、イギリスの神秘思想団体「黄金の夜明け団」の元団員で、当時は独自の分派を率いていたA.E.ウェイトが監修し、画家パメラ・コールマン・スミスが絵を描いたデッキがライダー社から出版されました。これが「ライダー・ウェイト版(ウェイト=スミス版)」です。最大の特徴は、小アルカナの数札にも人物と場面が描かれたことで、絵を見るだけで意味を想像しやすくなりました(数札に場面を描く試み自体は、1490年ごろのイタリアのソラ・ブスカ版にすでにあり、スミスはその写真を参考にしたと考えられています。特に「ソードの3」「ワンドの10」に影響がはっきり見られます)。現在世界で流通するタロットの多くはこの絵柄を下敷きにしており、よろずごよみのタロットカード事典もこの順番と名称に沿っています。なおウェイト版では、マルセイユ版で8番だった「正義」と11番だった「力」の番号が入れ替えられています(入れ替えたのは黄金の夜明け団で、ウェイト版がそれを初めて印刷して広めました)。

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5.ウェイト版で番号が入れ替わった2枚

ウェイト版では「力」が8番、「正義」が11番です。マルセイユ版やトート版では逆になっているので、他のデッキを使うときは番号ではなく絵と名前で確認しましょう。

6.タロットの構成

タロットは全部で78枚です。大きく2つのグループに分かれます。

7.78枚の内訳

  • 大アルカナ:22枚。0番「愚者」から21番「世界」まで、人生の大きなテーマや転機を表します。
  • 小アルカナ:56枚。ワンド・カップ・ソード・ペンタクルの4スート×14枚。日常の出来事や気持ちの動きを表します。
  • 小アルカナの内訳:エース〜10の数札40枚と、ペイジ・ナイト・クイーン・キングのコートカード16枚。

8.タロットは「未来を決めつける道具」ではありません

現代の代表的な解説者であるレイチェル・ポラックやメアリー・K・グリアは、タロットを「運命を宣告するもの」ではなく「自分の状況を映し、選択肢を考えるための鏡」として扱っています。カードが示すのは、いまの流れのまま進んだときの傾向や、見落としていた視点です。結果を受け取ったあとにどう動くかは、いつでもあなたが選べます。よろずごよみのタロット占いも、この考え方を大切にしています。

9.よくある誤解と、わかっていること

  • 「タロットは古代エジプトから伝わった」→ 18世紀に広まった説で、史料の裏づけはありません。現存する最古級のカードは15世紀イタリアのものです。
  • 「ロマの人々が占いとして伝えた」→ 19世紀によく語られた話ですが、これも確かな史料はありません。
  • 「最初から78枚がそろっていた」→ 初期のデッキは地域や時代によって構成がまちまちで、78枚が標準として定着するのは後のことです。
  • 「自分で買ったデッキでは当たらない」→ 言い伝えにすぎません。気に入ったデッキを自分で選んでかまいません。

10.練習

カード事典を開き、0番「愚者」と21番「世界」の絵を見比べてみましょう。旅の始まりと終わりに、それぞれどんな印象を持ちましたか。ひとことでメモしておくと、第3回で役に立ちます。

11.確認クイズ

問1. 現存する最古級のタロットが作られたのはどこですか?

  • 古代エジプト
  • 15世紀の北イタリア
  • 19世紀のイギリス

答え:15世紀の北イタリア。1440年代ごろの北イタリアの宮廷で、ゲーム用のカードとして作られたのが始まりです。エジプト起源説は18世紀に唱えられたもので、根拠は確認されていません。

問2. ウェイト版の大きな特徴はどれですか?

  • 小アルカナの数札にも場面の絵が描かれている
  • カードが100枚ある
  • 大アルカナが存在しない

答え:小アルカナの数札にも場面の絵が描かれている。数札にも人物や場面が描かれたことで、絵から意味を想像しやすくなりました。これが世界的に普及した理由のひとつです。

問3. タロットの全枚数として正しいものは?

  • 78枚
  • 22枚
  • 56枚

答え:78枚。大アルカナ22枚と小アルカナ56枚を合わせた78枚が標準的な構成です。

12.カードを引いてみる

よろずごよみのタロット占いは、登録なし・無料で1枚引き・3枚引き・二者択一・ケルト十字を占えます。78枚の意味はタロットカード事典で調べられます。

読んだら、あなたのことも占ってみよう

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